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◆ ナースインタビュー〜看護の立場から一覧

「親分になりなさい」一つ上のステージを目指す気持ちを(2)

橘 幸子(たちばな・さちこ)さん

福井大学医学部附属病院 副病院長・看護部長

現場のアイデアこそ
説得力があり、強みをもつ

ーーマネジメントの立場になってからも、ますます活躍されていますね。

 2009年に消化器外科病棟の師長が考案し実施されていた看護をを採用し、パートナーシップ・ナーシング・システム(以下、PNS)と命名しました。当院オリジナルの看護システムとして看護部全体で作り上げた点が、大きな活動の一つですね。

 これまでの看護は、看護師1人が複数の患者を担当して自己完結型で業務を終了するというスタイルでしたが、PNSは、年間のパートナーを決めて副看護師長のグループの中でペアとなり患者を担当する、というものです。パートナーは日常の看護に加え、委員会活動、係活動等、基本的にすべての業務を行います。

 2009年度に発案した師長が病棟で独自に始め、看護師同士のコミュニケーションの増加、業務の効率化、ワークライフバランスの実現、患者からのクレームゼロなど、極めて効果が高かったことから、2011年度から全病棟でPNSを採用しました。

 この取り組みが消化器外科病棟で始まったときは、未知なる試みに現場から猛反発がありました。やはり前例のないことには抵抗が付きものですからね。ところが半年もしないうちに180度変わって、「こんなに良いシステムはない」と、現場の看護師が口々に言うようになったのです(笑)。

ーーPNSが好評だった理由を、どのように分析されますか。

 そもそも、看護は2人で行う方が安全なのです。例えば、体位変換、おむつ交換、清拭、移動など2人で行うほうが安全で効率的に行えます。今までは一緒にやってくれる人を探して行っていました。

 そしてパートナーとは委員会活動や日々の看護の中から相手の良い部分を見習ったり、不安な点を相談し合ったりと、互いに切磋琢磨して高められるのもポイントでしょう。

 副看護師長を中心としたグループの中にパートナーがいて、その中で毎日ペアが組まれ看護展開をしていくのですが、特に、ベテラン・中堅看護師と組ませた新人看護師の成長には目を見張るものがあります。常に先輩看護師の動きを見たり、患者さんとの会話を聞いているうちに、自ずと知識や技術、さらにはコミュニケーションの取り方も学べるのです。

 また、超過勤務の激減も好評だった一因でしょうね。PNS採用前と後とでは、どの病棟でも超過勤務が明らかに激減しています。

ーー仕事の全体量も質も変わっていないのに、なぜ超過勤務が激減したのでしょうか。

 看護師の超過勤務の一番の原因は、日々の膨大な看護記録にあります。

 以前はベッドサイドで患者さんのデータを紙に控えておき、勤務終了時にまとめて電子カルテに入力していたので、二度手間である上、データを取った時間と入力する時間にタイムラグがありました。しかしPNSで常に2人で看護を行えば、1人が患者さんの病状を確認し、もう1人がその場で電子カルテに入力をして看護記録を仕上げてしまえるのです。

 先に申しましたとおり、看護そのものの効率も良くなるので、看護師1人当たりの受け持ち患者数は変わらなくても、業務を早く終わらせられる、ということです。

 医師からも「患者さんのデータがほぼリアルタイムで確認できるので次の指示を出しやすくなった」と好評です。

ーー患者さんからの評判はいかがでしょうか。

 最初は看護師2人がベッドサイドに来ることに抵抗があったという声もありましたが、今ではすっかり受け入れられています。

 新人とベテランではどうしても看護の質に差がありますので、患者さんは当然、ベテラン看護師の看護を受けたいと思うでしょう。しかし、新人看護師でも経験豊富なパートナーと組めば十分な看護が行えますし、難しい場面には経験知の高い先輩看護師が応じるので、患者さん自身も安心できます。新人看護師は様々な看護場面を体験し、その場で指導が受けられます。

 また、効率よく業務を終わらせられるため、患者さんからの相談にも、別途改めて時間をとることもできるようになりました。患者さんに提供する看護の質が高まり、安定的であることは、PNSの効果のひとつです。

 患者さんにとっても看護師にとっても、皆が幸せになれる画期的なシステムなのです。

ーーいいことづくしですね。

 実は2014年度に新病棟が完成するのに伴い、病棟も再編成されることになっています。これまで別々だった病棟のスタッフが一緒に働いていくことになるのですが、ここでも、お互いに経験したことのない診療科の看護師同士がペアを組めば、お互いの知識と技術を補完しあいながら看護を行うことができるので、現場を停滞させることなくスムーズに新しい体制に移れると自負しています。PNSのデメリットがあるとすれば、新しいことへの意識改革ができない後ろ向きの看護師が足を引っ張ることですね。

(3)へ続く <全4回>

聞き手/金井真澄 撮影/須藤夕子

プロフィール
橘 幸子(たちばな・さちこ)さん
福井大学医学部附属病院 副病院長・看護部長
1975年 国立金沢病院附属高等看護学院
      (現金沢医療センター附属金沢看護学校)卒業
      国立金沢病院就職
1992年 国立山中病院看護師長
1997年 国立金沢病院看護師長
1999年 国立療養所北陸病院副総看護師長
2003年 国立金沢病院副看護部長
2004年 福井大学医学部附属病院看護部長
2005年 福井大学大学院医学系研究科修士課程看護学専攻入学
2007年 同卒業
      福井大学医学部附属病院副病院長を兼任

記事提供:株式会社メディカル・プリンシプル社
『Nurse Partners』2012年5月号より
ナースの応援誌「Nurse Partners」はこちら!>>

2012年8月21日 読売新聞)

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