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これからの看護師に必要な「退院調整能力」(1)

 患者は病気や障害があっても、自分らしく生きたいと思っています。治らない病気であっても、最後まで夢を持ち前向きに生きたいと願っています。そういう患者の願いをかなえるためのキーワードが「退院調整」です。

 生活に場である「家」に帰りたいという患者の思いを受け止めて、退院後を見据えた「継続看護」をするのは、看護の大きなやりがいにもつながります。入院期間が短縮し、不安を抱えながら退院する患者が増えるなか、その不安を一つずつ解決していく退院調整の仕事が、看護師の役割として最近急速にクローズアップされてきました。

地域とも連携して退院支援

 在院日数が、どんどん短縮化されています。急性期病院の場合、14日以内の退院が目安。入院したその日に手術を受け、3日で退院…といったケースも、もはや珍しくありません。

 ですから、十分に回復する前に退院したり、点滴や呼吸器を着けたままで退院するケースも多いのです。退院後の生活に不安を抱く患者や家族が増え、なかには病院に見放されたと嘆く人もいます。

 そんな現状に対して、看護師が中心となり、在宅でも安心した療養生活が送れるように、患者や家族を支援していくための取り組みが広がってきました。それらを「退院調整」、あるいは「退院支援」と呼びます。

 もちろん、これまでも病院では、退院後の暮らしを考えてケアを行っていました。しかし、最近の「退院調整」は、単に主治医と看護師が病棟内で患者の退院を支援するというだけではありません。退院支援センター、ケアセンターなどと名付けられた退院支援部署に専任の看護師(一般に、退院調整看護師と呼ぶ)を配置してキーパーソンに据え、地域の保健・医療・福祉サービスとも連携しながら、患者と家族をサポートしていくのです。

退院調整が必要な患者は?

 むろん、すべての入院患者について退院調整が必要なわけではありません。退院調整を要するのは、医療上の課題や、生活・介護上の課題が多いケース。例えば、退院後も高度で複雑な継続的医療が必要な患者、しばしば容態が急変して入退院を繰り返す患者、一人暮らしであったり、家族と同居していても十分な介護を受けられない患者などです。

 それらの患者は、およそ3種類に大別することができるでしょう。

 まず、末期がんの患者。最近は末期でも自宅で過ごすことを希望する人が増えつつありますが、疼痛などの問題もあって、「本当に在宅可能か」という不安も強いのです。

 次に高齢患者、特に80歳代、90歳代の後期高齢者です。脳卒中や大腿骨頸部骨折など、身体に障害の残る疾患以外でも、高齢患者は「元通りに元気になる」のが難しい場合が少なくありません。それが家族の負担増や本人の意欲低下につながり、在宅療養を困難にしてしまいます。

 また、神経難病の患者、小児難病を持つ子ども、精神疾患を持つ患者なども、退院調整を必要とするケースがままあります。

 神経難病というのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、パーキンソン病、精髄小脳変性症、多発性硬化症など。一進一退を繰り返しながら、徐々に進行していく病気です。患者本人の心身の苦痛は言うまでもありませんが、介護する家族も、精神面も含めた負担がどんどん重くなっていきます。

不安が消えれば在宅を希望

 そういった患者と家族が抱えている問題、予想される問題について、個々に解決法を探し、必要な手を打っていくのが退院調整です。

 医療依存度の高い患者や、後遺障害の残る高齢患者などの場合、本人も家族も在宅を希望しないケースが多いと言われます。長期療養できる病院や、施設への転院・転所希望が多いというわけです。

 「でも、よくお聞きしてみると、『本当は自宅に…』とおっしゃる方が少なくありません」と、ある病院の看護部長は話しています。不安がいっぱいなので、二の足を踏んでいるだけなのです。その不安を一つひとつ消していけば、気持ちが変化していきます。

 どんな場合でも、自宅療養がベストとは言えません。人により、場合によって、施設などに入所する方がよいケースもあるでしょう。しかし、「自宅療養したいけれども、問題が山積みだから」と諦めている人達に対しては、希望が叶えられるように手を尽くす。「患者に寄り添い、患者の思いに沿って、支えていく」のが、看護の原点なのですから。

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2011年2月16日 読売新聞)

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